閑話休題。昨日は神田で開催されているテンジン・ヌルブというチベット人画家の個展に行ってきました。ネットで探してもあまり画像が出てきませんが、こんな絵を描く人です。
新聞で個展を紹介する記事を見たのがきっかけなのですが、そこに彼はネパールの秘境ドルポ地方出身と書かれていたので行ってみました。ドルポといえば、かの河口慧海が100年以上前に鎖国状態だったチベットに潜入する時に通ったエリア。そのドルポの風景を描いている画家と言われたら行かないわけにはいきません。会場には峠を越えてチベットに入る河口慧海を描いた作品もありました。
彼の絵柄を簡単に説明すると、基本はチベットの寺院を彩る壁画のような感じの絵なのですが、どぎつい原色系の壁画とは違って色彩が淡くて、もっと柔らかな暖かみのあるタッチで描かれています。下処理をした布に水彩で描いているそうですが、タンカの絵柄とも違うんですよね。素朴だけど暖かみのある絵です。チベット仏教の伝道者ミラレパの絵など仏教をテーマにした絵もありますが、その大半がドルポの風景や馬やヤクや人々を描いたものです。
元々はドルポにある寺院の僧だったという彼の絵の印象的な点は描かれている人物がみな微笑んでいること。彼は英語を話せるので会場で彼と少し話をしたのですが、なかなかの好人物でした。自分の絵を見ることによって人々の心に安らぎを与えられると嬉しいと言っていたのが印象的でしたね。「僧でもある貴方は絵を描くことによって仏教の教えを実践しているんですね」と私が言ったら彼は笑顔で頷いてくれました。
ちなみに、河口慧海の「チベット旅行記」にはドルポ地方の僧たちの堕落ぶりが詳細に書かれているのですが、もちろんそんな話は彼にはできませんでした。彼の家は5代続けて村の寺院の住職を務めているらしいので、下手すると河口慧海が生臭坊主と呼んだ坊主かもしれませんから(笑
会場で買った画集にサインして下さいと頼んだら、マジックでスラスラと馬の絵を書いてサインをしてくれました。感激です。つか、デジカメを持っていたなら彼と写真を撮ってもらうべきでしたよね。めっちゃ後悔しています。




